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エジプト基礎情報~産業
 

 

 1.農林水産業


(1)農業

エジプトにおいて農業は、就業人口、生産額のみならず外貨獲得の面でも歴史的に経済の中心をなしてきた。農業のGDPに占めるシェアは1971年の31%から2010年には13%に低下しているが、雇用においては約4分の1を占めるとともに輸出収入においても重要な地位にある等、農業はエジプト経済における基幹産業として今なお中心的な役割を担っている。

エジプトの農地面積は従来国土の約3%に過ぎず、アスワンからカイロに至るナイル川に沿った狭い帯状の地域(ナイル谷)とカイロから地中海に至るナイルデルタ地帯、ファイユームのオアシス等極めて限られた地域で農業が行われてきた。これを灌漑等により2030年までに約5%まで広げることを目指している。

また、年2%前後の高い人口増加率の下で、主要穀物のうち小麦、とうもろこしを輸入に依存する状況にあり、綿花をはじめとした農産物輸出にも伸び悩みがみられることから、農業生産の一層の増大が求められている。

なお、1980年代以降シナイ半島北部を中心に進められてきた大規模農地開発、アスワン・ハイ・ダムからニュー・バレーと呼ばれる西部砂漠のオアシス地域に至る大運河を建設して大規模農地開発を行う「トシュカ・プロジェクト」については、一定の進捗はみられるものの、当初の計画通り進んでいない模様。

一方、農業を巡る経済環境の改善策としては、経済改革の一環として、公的企業の民営化が進められており、農業関係公社等の民営化も進められているほか、農産物に関する統制もほぼ撤廃された。また、1992年には、土地改革法を一部改正し、小規模零細農家保護政策から農業生産性の向上を目的として農地の規模拡大を促す政策への転換が行われ、小作料の自由化等土地所有に対する制限が大幅に緩和されることとなった。これらの努力もあり、米、小麦、とうもろこし等についても生産性の向上が見られる。


(2)水産業

エジプトの水産業は、海面漁業及び内水面漁業に大別できる。海面漁業は地中海、紅海・スエズ湾が中心であり、内水面漁業は北部汽水湖、ナイル川、ナセル湖(アスワン・ハイ・ダムのダム湖)等で行われている。近年養殖業にも力を入れている。

 

 2.製造業・鉱工業

 

エジプトはアラブ諸国の中では比較的早い時期に工業化が開始され、基幹産業は歴史のある繊維産業、食品工業であり、そのほか組立を中心とした機械工業等の業種を有している。エジプト政府の統計によると、GDPに占める製造業の割合は、2011/12年度で16.2%であり、部門別には第1位である。次に大きな割合を占めるのが、鉱工業であり、エジプト政府の統計によると、GDPに占める同部門の割合は、2011/12年で15.5%である。

 

 3.エネルギー

 

(1)概況

エジプトのエネルギー源の太宗は石油・天然ガスである。石炭も、埋蔵量は多くないもののシナイ半島において開発が進められている。

石油は、長らく4大外貨収入源(他は観光収入、海外労働者送金、スエズ運河渡航料)の一つとして、エジプトの国際収支状況改善に貢献してきたが、近年生産量の減少、国内消費の増大等により輸出余力を失いつつある。

代わりに期待されているのが天然ガスであり、地中海沿岸に大規模な埋蔵天然ガスが確認されている。これまで生産された天然ガスは、そのほとんどが家庭用、発電用、化学工業用など国内で消費されてきたが、エジプト政府は豊富な埋蔵量を背景に、天然ガスを輸出する方針を固めており、2003年7月にはエジプト~ヨルダン間のガス・パイプラインが開通し、ヨルダンへの輸出が開始された。また、2004年11月にはスペイン向け輸出が開始された。

石油や天然ガスは、国内では、主に発電用に消費されている。経済成長に伴い、近年国内電力需要は急増しており、エジプト電力・エネルギー省によると、2010/2011年度の総発電量は14万6,796ギガワット時、対前年比で5.6%の増加となった。今後も長期的に電力需要の高い伸びが見込まれることから、新規発電所の整備計画に加え、近年は風力、太陽光、太陽熱など、エジプトが強みを持つ「再生可能エネルギー資源」についても開発が進められている。政府は2007年4月に、2020年までに総発電量のうち20%を電力可能エネルギーによりまかなうことを目指す方針を打ち出している。

 

[参考] 主要指標

 

· 石油

o生産:約72万バレル/日(2012年)

o可採埋蔵量:約44億バレル(2013年)
 

· 天然ガス

o生産:約2兆1634億立方フィート/日(2011年)

o可採埋蔵量:約77.2兆立方フィート(2013年)


 

(2)日本企業の動向

2013年9月現在、双日(株)が米国IPR社と共同で、西部砂漠にて石油開発を実施、生産中である。また、豊田通商(株)は、2008年から、エジプトガス公社及び南部エジプト石油開発公社と共同で地中海において海洋ガス田掘削請負事業を実施中である。

 

 

 4.運輸・通信

 

(1)自動車・道路

 

2010年時点の自動車登録台数は585万台、となっており、100人当たりの自家用車保有台数は約7台(カイロ市内に限っては約20台程度)と推計されている。(EU諸国や日本は概ね100人当たり45~60台程度)。

道路の総延長は137,430km(2010年世銀)、全国の主要幹線道路は運輸省の道路橋梁公団(GARBLT)が建設・管理を行っている。

エジプト全土の交通事故死者数は年間約12000人、10万人当たりに42人(WHO)と推計されている。(日本は4.5/10万人:2012年)

カイロ都市圏では、近年急速にモータリゼーションが進んだ結果、慢性的な道路混雑が発生しており、渋滞による経済的損失は年間8億ドルでGDPの4%に相当すると推計されている(世銀:2012年)。

 

(2)鉄道

 

エジプト国鉄が管理する鉄道路線延長は5,130km、年間輸送量は旅客が440億人・km(2008年)、貨物が41億トン・km(2002/2003年度)である。

カイロ地下鉄は、運輸省のトンネル公社(NAT)が建設を行い、カイロ地下鉄公団(ECM)が管理運営を行っている。1号線(ニュー・エル・マルグ~ヘルワン間)は1987年、2号線(ショブラ・エル・ケイマ~エル・モニブ間)は1996年に仏の援助により開業した。現在3号線(インババ~カイロ空港)の建設も進められており、2012年2月に一部区間が開業している。 年間輸送人員は8億3,700万人(2010/2011年度)で、世界有数の利用者数である。1号線の一部車両、2号線及び3号線の全車両は日本製である。今後の計画として、ギザのピラミッドエリアとカイロ市内を結ぶ4号線が日本からの円借款供与により整備される予定である。

 

(3)港湾・海上輸送

 

2010年の港湾取扱貨物量は、エジプト全体で1億1,354万トン。うち輸入が6,429万トン、輸出・移入が2,995万トン(その他はトランジット貨物)と輸入貨物が過半を占める(エジプト政府統計EMDB)。

港湾取扱貨物の主要な輸入品目は、重量ベースでは、穀物、鉱物・石油製品等などのバルク貨物であり、主要な輸出品目はセメント等、鉱物・石油、肥料などである。

コンテナ貨物はエジプトの港で2010年に670万TEU取扱い、内414万TEUがトランジット貨物とされていることから、エジプトの港はトランジット港としても機能している。

なお、エジプトの港湾は15の主要港と44の特別港があるが、主に4つの主要港(ポートサイド、ダミエッタ、アレキサンドリア、スエズ)が取扱い貨物が多い。

エジプト政府は、スエズ湾北西部地域の一環として200210月にアイン・ソフナ港を開港。これはエジプト初のBOTBuild,Operate and Transfer)方式による港湾で、民間出資によるアイン・ソフナ港開発会社がコンテナ・ターミナルの運営を行っている。

一方、ポートサイードのシナイ半島側には東ポートサイード港が2004年10月に開港。エジプト第2のBOT方式による港湾として、欧州企業やエジプトの官民等の出資によるスエズ運河コンテナ・ターミナルが運営を行っている。

 

(4)スエズ運河

 

スエズ運河は地中海側のポートサイードと紅海側のスエズを結ぶ全長約190kmの運河である。1869年の開通時は、水路幅44m、水深10mだったが、その後、数次にわたる拡張工事が行われた。このうち最大規模のものが1975年から1980年に実施された第1期拡張計画で、総工費約13億ドル(うち外貨分7.6億ドル)のうち我が国は本計画へ2.6億ドル(610億円)の資金協力を行ったほか、浚渫船の購入(120億円)を支援した。現在の水路幅は200/210m(南行/北行)、水深は22.5mである。運行にかかる所要時間は、北行は約12時間、南行は約16時間である。

運河通航量の推移を見ると、通航隻数は、1982年の2.3万隻をピークに船舶の大型化を背景に減少を続けてきたが、近年の経済活動のグローバル化を受け90年代末以降増加に転じ、2012年は17,225隻に達している(日平均約47隻通過)。スエズ運河の通航が把握されている日本関係船舶は、年間約1350隻が通航(日平均約3.5隻)し、船社からは年間約4億ドル超が運航料としてスエズ運河庁に支払われている(2011年実績)。

 

一方、通航総トン数は90年代に一旦落ち込んだもののその後は総じて年々増加しており、特に最近は中国とヨーロッパの貿易量増大の影響も加わり、2012年も過去最高を更新する9億2845万トンとなった。

運河通航料収入は、エジプトの外貨収入源として重要な役割を果たしており、2010/2011年度は、5052.9百万ドルであった(エジプト中銀)。

中国の経済成長等に伴う海上輸送需要の増大を背景に、エジプト政府は2005年から4年連続してスエズ運河運航料を値上げしてきたが、世界的な経済危機の影響もあり、2009年以降は据え置いていた。しかしながら、2012年から運航料の値上げを再開した。なお、値上げに関しては、ICSや日本船主協会などからスエズ運河庁に対し、意見書が提出されている。

 

(5)航空

 

エジプトには、現在民間航空輸送に利用されている空港が22あり、民間航空省のエジプト空港・航空管制持株会社傘下にあるカイロ空港会社がカイロ空港を、エジプト空港会社がそれ以外の空港を管理運営している。

2007年の航空旅客数はエジプト全体で3,070万人、うちカイロ空港は約半数の1,258万人(2007年)となっている。

カイロ空港は4,000m、3,300m、3,133mの3本の滑走路と3つの旅客ターミナルビルを持つ中東でも有数規模の24時間空港である。

1963年に完成した第1ターミナルは欧米等の航空会社が利用している。第2ターミナルは現在改修中である。第3ターミナルは2009年6月に完成し、エジプト航空を中心に複数の航空会社が利用している。

エジプトのナショナルフラッグキャリアであるエジプト航空は1932年に開業、1960年に国有化された。2002年に持株会社化され、民間航空省のエジプト航空持株会社の下にエジプト航空のほか航空貨物、メンテナンス、機内サービス、免税品販売など7つの会社に経営が分割された。

日本・エジプト間の航空業務に関する協定は1962年5月10日に署名された。カイロ-東京間(南回り便)をエジプト航空(週2便)と日本航空(週1便)がそれぞれ運航していたが、湾岸戦争に伴い日本航空は1990年11月から運航を取り止めた。その後、関西国際空港開港(1994年)、成田空港暫定平行滑走路供用(2002年)に伴い、エジプト航空は、それぞれカイロ-大阪間、カイロ-東京間の直行便の運航を開始した。2009年には、カイロ-東京間週3便、カイロ-大阪間週2便(冬期は3便)(いずれもエジプト航空)が運航されていたが、2011年の政変を経て、20112月に直行便を停止した。その後20124月、カイロ-東京間が週2便で再開(9月には週3便に増便)、201212月、カイロ-関空間で週2便を再開したが,20137月の政変の影響を受けて、カイロ-成田便が停止となり、2013年10月にはカイロ-関空便も運航停止となった。

 

(6)情報通信

エジプトにおける情報通信分野の成長率は年13~15%とされており、年平均7%程度のGDP成長率を大きく上回る急速な成長を遂げている。エジプト政府は、情報通信市場の拡大に伴い、インフラ整備に積極的な姿勢を示している。海外からの研究開発投資を誘致するべく、2006年には通信市場が自由化された。固定電話市場ではテレコム・エジプトの独占が続いているが、契約回線数は1,000万回線を上回っている。移動体通信市場では加入者数が急拡大している。ボーダフォン、MobinilEtisalatの3社がサービスを提供しており、2009年9月末時点での移動体通信サービスの契約件数は約5,300万件となっている。また、インターネット利用者も2009年に約1,400万人に達し、3年間で2倍以上に拡大した。一方、ブロードバンドの加入者数は2008年末でわずか約70万人であり、今後の市場拡大余地は大きい。


 

 5.観光

 

2010/11年度の観光収入は105.88億ドルで、エジプトの主要外貨収入源の一角を占めている。エジプトを訪れる外国人来訪者は、これまで1991年の湾岸戦争、1997年の外国人観光客襲撃テロ及びルクソール事件、2011年の9・11同時多発テロ、2003年の対イラク武力行使と、度重なる事件の発生に影響を受けながらも、全体としては増加しており、2010年には過去最高の1,473万人を記録した。しかしながら、2011年の政変の影響もあり、2011年985万人、2012年1,153万人と2010年と比して減少したままである。なお、2012年は国別にはロシア(252万人)、ドイツ(116万人)、英国(101万人)の順で、日本は3万9千人で37位となっている。


エジプト観光省は、1990年代後半以降、紅海・シナイ半島のリゾート開発及びホテルの客室数増加に力を入れると同時に、欧米のテレビ局を通じて紅海のプロモーションCMを放映するなど、従来のピラミッド・遺跡巡りとは異なる新たな観光ニーズの発掘に取り組んでいる。

 

 


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