2014年10月12日
ガザ復興支援会合における中山外務副大臣スピーチ
(10月12日,於:カイロJWマリオットホテル)
1.冒頭
最初に,本日のガザ復興支援会合を主催するエジプト政府及びノルウェー政府に敬意を表するとともに,今般のガザ紛争で亡くなられた方々に哀悼の意を表します。今回,残念ながら出席できない岸田大臣の指示により自分が日本政府を代表して出席することとなりました。
2.国際支援メカニズム
先般のガザ紛争で,多くの市民が犠牲となったことは,極めて遺憾です。停戦を確実に定着させ,かかる悲劇の再発を防止し,パレスチナ自治政府による統治を通じたガザの再建を実現しなくてはなりません。この点で,先日,国連,イスラエル及びパレスチナ自治政府が,再建の基礎となる物資搬入に関するメカニズムに合意したことを歓迎します。
今後,国際社会が関与するメカニズムを構築し,しっかりとしたフォローアップ体制を作らなくてはなりません。日本が提唱している「国際支援メカニズム」は,国境管理と治安,人道支援と復旧,ガバナンスと人材育成を3本柱とした,持続的な停戦と円滑なガザ再建プロセスの保障を目的としたものです。日本は,今後,イスラエル,パレスチナ,国連及び関係国・機関と協力して,これを具体化させる用意があります。
また,復興プロセスは,和平交渉の再開,さらには中東地域全体の安定化に資する形で進められなくてはなりません。日本は,当事者に対し,交渉の再開に向けた協議の継続を呼びかけます。同時に,交渉再開を妨げるようなあらゆる試みに反対する立場を改めて強調します。
3.プレッジ
ガザ再建のためには,国際社会の努力を結集しなくてはなりません。1993年のオスロ合意以降,総額約14.7億ドルに上るパレスチナ支援を行ってきた日本は,ガザ復興のあらゆるステージにおいて支援を行う決意を固めています。
日本は,本年開催された第2回「パレスチナ開発のための東アジア協力促進会合(CEAPAD)」閣僚会合の場で,2億ドルの新規パレスチナ支援を発表しました。このうち,既に7千万ドルが拠出済みです。
これに加え,今般のガザ紛争を受け,ガザ向け緊急援助約780万ドルを実施しました。さらに,今後,がれき除去や食糧分野,社会・経済分野での開発支援など,ガザ向けのものを含め,2千万ドル以上の支援を行う予定です。日本は,今後も,「約束したことは必ず実行する国」として,プレッジした支援を着実に実行する考えです。
4.日本の独自の取組
さらに,日本は,パレスチナの経済・社会の安定に向けた独自の支援に長年にわたり取り組んできております。
2013年に日本が立ち上げたCEAPADは,アジアの経済的繁栄と経験をパレスチナ及び周辺諸国と共有するための新たな試みであり,既に2回の閣僚会合を開催しました。この会合で確認されたアジア各国間の協力による支援も着実に進展しています。
また,日本がイスラエル,パレスチナ及びヨルダンと共に取り組んでいる「平和と繁栄の回廊」構想のジェリコ農産加工団地については,入居企業5社の工場建設が進んでおり,将来,7千人の雇用と2万人の裨益者を生み出す見込みです。
さらに,イスラエルとパレスチナ双方の青年を日本に招待し,交流を深めてもらう青年交流事業は,合計180名以上の参加を得て,双方の信頼関係構築の一助になっていると確信しています。
こうした具体的かつ着実な取組により,関係者間の協力と信頼関係を促進し,人々に将来への希望を与えていきます。
5.結語
今回のガザ復興会合が,「二国家解決」の実現に向けた大きな一歩となることを願っています。我が国はガザ復興のためにあらゆる支援を惜しみません。御清聴,ありがとうございました。
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