エジプト基礎情報~文化
エジプトは4大文明の発祥地の一つとして長い歴史と豊かな文化をもつ国であり、特に中世に栄えたイスラム文化の伝統は今も連綿と生きている。16世紀から約3世紀にわたるオスマン帝国支配のもとでエジプトの創造力は衰えたが、20世紀以降,中東の文化的な中心としてのその存在感を強めている。
国内の諸文化活動全体に政府機関の持つ役割が大きく、政府は主として文化省を通じ、各種文化事業の実施、補助金の支給、各種施設の建設などにより、強力な側面援助を行なっている。
人口の約90%がイスラム教徒であり、大半はスンニー派に属する。
残りの約10%をキリスト教徒が占め、その大半は古代エジプト・キリスト教であるコプト教徒である(その他のキリスト教諸派としては、ギリシャ正教、ローマン・カトリック、アルメニア、プロテスタントがある)。
主要日刊紙として、政府系3大紙(アル・アハラーム、アル・アフバール、アル・グムフーリーヤ)に加えて、独立系(アル・マスリー・アル・ヨーム紙、アル・ヨウム・アル・サービア紙、アル・シュルーク紙等)や、ワフド紙等の政党機関紙が存在する。2011年1月25日革命以降、数多くの新聞が新たに発刊された。政府系最大手のアル・アハラーム紙は1875年創刊で、発行部数は約75万部と言われている。
TV放送については、「エジプト・テレビ・ラジオ連合(ERTU)」の完全独占であったが、2001年に民間衛星放送局2社が初めて開設され、1月25日革命後、インターネット放送や民間衛星TV局数が急増した。他方で、2013年7月の政変以降、イスラム勢力に対する締め付けが強まり、ムスリム同胞団系TV局「ミスル25」などが当局により放送停止に追い込まれた。民間テレビ局においてはCBCとアル・ナハールテレビが2016年半ばに合併し、エジプト最大のテレビネットワークが誕生した。
エジプトでもっとも人気のあるスポーツはサッカー。(1998年10月にはエジプト代表チームが訪日し、日本選抜チームと親善試合を行った。また2002年3月には「ジャパン・フェスティバル2001」の一環として日本ユース代表チームが来埃し、親善試合を行ったほか、2008年及び2012年にはアル・アハリーが、アフリカ王者として「FIFAクラブワールドカップ」に出場するため訪日した。)
その他に、バスケット・ボール、スカッシュ、テニスといったスポーツも盛んであり、水泳競技、ボクシング、レスリングも行なわれている。さらに、スピードボールなどエジプトで発明され、国際的に普及しているスポーツもある。日本の伝統武道である柔道、空手も日本からの専門家派遣の成果もあって盛んで、特に、柔道ではロサンゼルスオリンピックでラシュワン選手が銀メダルを獲得。また2005年9月には世界柔道選手権大会がカイロで開催された。日本の武道関連では、その他に相撲、合気道が盛んでありデルタ地方ダカリーヤ出身の大砂嵐力士が日本の相撲界で活躍しており、2013年5月には、中東・アフリカ出身者としてはじめて十両に昇進し幕入りを果たした。
エジプトでは現在までに以下の7カ所が世界遺産に登録されている。
• メンフィスとその墓地遺跡:ギーザからダハシュールまでのピラミッド地帯
• 古代都市テーベとその墓地遺跡
• アブ・シンベルからフィラエまでのヌビア遺跡群
• イスラム都市カイロ
• アブ・メナ
• 聖カテリーナ修道院地域
• ワディ・ヒタン(鯨の谷)
エジプトでは過去、以下の4名がノーベル賞を受賞している。
• モハメド・アンワール・サダト大統領(Mohamed Anwar
Al-Sadat)(1978年/平和賞)(イスラエルのベギン首相との同時受賞)
• ナギーブ・マハフーズ(Naguib Mahfouz)(1988年/文学賞)
• アフマド・ズウェイリ(Ahmed H.Zewail)(1999年/化学賞)
• モハメド・エルバラダイ(Mohamed El Baradai)(2005年/平和賞)
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