エジプト基礎情報~政治・外交
平成28年12月25日
1.政体 |
共和制(1953年以降。1922年の独立時は王制、翌年から1952年までは立憲君主制)。
2.最近の内政 状況 |
マンスール暫定大統領下の2014年3月に成立したマハラブ内閣は,2015年9月に第三次内閣が辞職し,同月にはイスマイール内閣が成立。2015年10月から12月にかけて議会選挙を実施。2016年1月に代議院が設立され、「ロードマップ」が完了した。同年10月からは代議院の第2会期が開始された。
3. 大統領等の略歴・暫定内閣リスト |
(1) エルシーシ大統領の略歴
生年月日: | 1954年(59歳) | |
出身地: | カイロ | |
学歴: | 1977年 国軍士官学校卒 | |
宗教: | イスラム教 | |
経歴: | 1992年 英国統合指揮幕僚大学留学 | |
国防武官(サウジアラビア) | ||
2006年 米国陸軍戦争大学留学 | ||
2008年 北方軍管区(アレキサンドリア)指揮官 | ||
2011年 国軍情報部長 | ||
2012年8月~2014年3月 国防相就任 | ||
2014年6月 大統領就任 |
(2) シェリーフ・イスマイール首相の略歴
生年月日: | 1955年(61歳) | |
学歴 | 1978年 アイン・シャムス大学工学部機械学科卒 | |
宗教: | イスラム教 | |
経歴: | 1978年 モービル(Mobil)社 | |
2000年 石油・鉱物省次官 | ||
2005年 エジプト・ガス公社(EGAS)会長 | ||
2007年 ガヌーブ・エルワディ石油公社(GANOPE)会長 | ||
2013年 石油・鉱物資源相 | ||
2015年9月 首相就任 |
(3) 第三次イスマイール内閣閣僚リスト(注:数字は便宜的に付したもの)
1. | シェリーフ・イスマイール首相 | |
2. | スィドキー・ソブヒ国防相兼軍需産業相 | |
3. | サーメハ・ハサン・シュクリ外相 | |
4. | マグディー・アブドゥル・ガッファール内相 | |
5. | アシュラフ・エルアラビー計画・検査・行政改革相 | |
6. | サハル・ナスル国際協力相 | |
7. | アシュラフ・シーヒー高等教育・科学研究相 | |
8. | アムル・アリー・エルガーリヒー財務相 | |
9. | ターレク・カビール通商産業相 | |
10. | ヘルミー・ナムナム文化相 | |
11. | エルヒラーリー・シェルビーニー教育・技術教育相 | |
12. | ダリヤ・ハーゼム・ホルシド投資相 | |
13. | ガーダ・ワーリー社会連帯相 | |
14. | ハーリド・ムハンマド・ファハミ環境相 | |
15. | ムハンマド・ムフタール・グムア宗教財産(ワクフ)相 | |
16. | ムハンマド・アッサール軍需生産担当国務相 | |
17. | ムハンマド・シャーキル電気・再生エネルギー相 | |
18. | ムハンマド・マフムード・サアファーン労働力相 | |
19. | アフマド・ラーディ保健・人口相 | |
20. | ヤーセル・カーディ情報・通信技術相 | |
21. | アフマド・ザキー・バドル地方開発相 | |
22. | ムスタファ・マドブーリー住宅・施設・都市社会相 | |
23. | ハーリド・アナーニー遺跡相 | |
24. | ムハンマド・ヤヒヤ・ラーシド観光相 | |
25. | ターレク・エルモッラー石油・鉱物資源相 | |
26. | ムハンマド・アリー・シェイフ供給・国内通商相 | |
27. | ムハンマド・アティ水資源・灌漑相 | |
28. | イサーム・ファーイド農業・土地開拓相 | |
29. | シェリーフ・ファトヒー・アティーヤ民間航空相 | |
30. | ムハンマド・ホサーム・アブドゥルラヒーム司法相 | |
31. | ガラール・サイード運輸相 | |
32. | ハーリド・アブドゥルアジーズ青年・スポーツ相 | |
33. | マグディー・エルアガーティー法務・議会相 | |
34. | ナビーラ・イベイド移民・国外移住者相 | |
35. | アシュラフ・シャルカーウィー公共事業相 |
4.議会 |
2015年10月から12月にかけて議会選挙を実施。2016年1月に代議院が設立され、同年10月からは代議院の第2会期が開始された。エジプトでは2013年7月に停止された憲法までは、2院制(シューラー議会及び人民議会)を採っていたが、2014年1月に施行された修正憲法は、1院制(代議院のみ)を採った。代議院議員の任期は5年。定数は596議席(公選568議席、大統領任命28議席)。代議院は、法案の議決や予算の承認に加え、条約の承認や及び行政府の監督等の権能を有する。また、国防・国家安全保障、外務関係、経済、人権等,全25の委員会が存在する。
5.政党 |
2015年10月から12月にかけて行われた議会選挙時の最大選挙連合であった「エジプトへの愛」が政治会派へ発展した「エジプト支持同盟」に属する議員が代議院のおよそ6~7割を占める。同同盟には祖国未来党や会議党等の政党に所属する者のほか、多数の独立系議員が含まれる。その他、自由主義的な政策を掲げる議会内最大政党の自由エジプト人党や、およそ1世紀に及ぶ歴史を有するワフド党、イスラム主義政党のヌール党等が議席を得ている。また、左派系の人民潮流等、議会選をボイコットした政党も存在する。
6.司法 |
司法権の独立は憲法により保障されている。司法体系は原則として三審制で、日本の最高裁判所に相当する破毀院、日本の高等裁判所に相当する控訴院(全国に8箇所)、日本の地方裁判所に相当する初審裁判所(全国に24箇所)から成る。この他、全ての司法機関からの憲法審査を管轄する最高憲法裁判所がある。
その他、行政裁判所、軍事裁判所、刑事裁判所、家庭裁判所等が置かれている
7.行政区画(エジプト全国27県) |
カイロ、ギザ、アレキサンドリア、ポートサイード、スエズ、イスマイリーヤ、ブハイラ、ダミエッタ、カフル・エル・シェイク、ガルビーヤ、ダカハリーヤ、シャルキーヤ、ムヌフィーヤ、カルユービーヤ、ファイユーム、ベニスエフ、ミニヤ、アシュート、ソハーグ、ケナ、ルクソール、アスワン、紅海、ニューバレー、マトルーフ、北シナイ、南シナイ
8.軍事力 |
中東・北アフリカ諸国最大級の兵力46万人の軍隊を有する。最高司令官は共和国大統領。
(1) 国防大臣:スィドキー・ソブヒ(2014年3月就任)
(2) 予算:約50億ドル(2013年推定)(出所:Jane’s Sentinel 2014)
(3) 兵力:陸軍34万人、海軍1万8500人、空軍3万人、防空軍7万人(出所:Jane’s Sentinel 2014)
(4) 兵役義務:12ヶ月~3年
9.外交 |
エジプトは、アラブ及びアフリカにおける穏健な地域大国として、中東和平などの地域問題で積極的な役割を果たすとともに、イスラム、非同盟諸国との連帯や欧米諸国との協調も重視するバランス外交を展開してきた。また、エルシーシ大統領就任以降は、ロシアや中国との関係強化に加え、日本を始めとするアジア諸国も重視。2016年及び2017年は国連の安保理非常任理事国でもある。